Goto Ryoko
今回この空間を開設するにあたり、自作と向き合う貴重な時間を過ごしました。
いまだ表現について考える日々ですが、描き続けてきたことで得たものもあるようです。
描く、発表する。この繰り返しの中で新たな気づきがあることを楽しみにしています。
後藤良子の作品について
文責 塩賀史子
後藤良子の作品の前に立つ時、私はいつも清々しい快感を覚える。この快感は、彼女が作品の生命線として特に大切にしている『ライブ感』の波長を、作品から感じ取ることで生まれるのだと考えている。
後藤の制作スタイルは、パネル上にアクリルや油絵の具を塗り、面を作る仕事と、クレパスやオイルパステルなどを用いて線を引く仕事を幾重にも織り成し、独自の絵画空間を作り出すというものである。
それは生活の中で出会う様々な景色或いは内面の衝動を、彼女自身が今生まれ、今初めて出会ったかのような新鮮な感覚で捉え、画面に定着させたものである。タッチやストロークは、時にスピーディであったり時にゆったりとしていたりと違いはあれど、彼女自身が、日常生活の営みの中で得たものが反映されていることに違いはない。
既存の概念に囚われず、新鮮な目で世界を知覚し、開放的なのびやかさで表現する。それが観るものを惹きつけるのである。
具体美術協会が生まれ、主な発表の場となった阪神間の地域には、美術に対する垣根の低さと、のびのびと表現を楽しむ雰囲気が今も根付いている。表現者にとってこの上ない肥沃な土壌がある。
1971年に兵庫県西宮市に生まれ、神戸市で育った後藤も当然その薫陶を受けている。特に彼女が敬愛し交流のあった同協会の作家、堀尾貞治氏の存在は、作品世界の確立に大いに影響しているだろう。
滋賀県日野町に移住した後もその作品に向かうスタイルにブレはない。むしろ蒲生野の豊かな自然に囲まれた暮らしによって、さらに伸びやかさが付加したように感じられる。
充実した環境の下で創作意欲をたぎらせるこの作家が今後、どのような作品世界を展開していくのか、とても楽しみである。
About the works of Ryoko Goto
Fumiko Shioga
Standing in front of Ryoko’s Goto, I feel a kind of freshness. The raw vitality, her fundamentally important aspect, comes through directly to me,
causing that fresh sensation.
Goto’s style revolves around exploring texture through painterly brushstrokes to emphasize surface visualization. Her way of pictorial representation is evinced by the application of line drawing. She captures scenes on canvas like fixing moment in time.
She uses her impulses and she sees scenes in her daily life through the eyes of a a newborn. As she moves the brush slowly or sometimes quickly, I feel her daily perceptions reflected on the canvas. Without any filter, she perceives the world through fresh eyes with a sense of openness. That charm us.
In the Hanshin area, between Osaka and Kobe, the Gutai Art Association was
established. It is famous for its movement against anti-authoritative art. With its historically low threshold and free atmosphere, it has
become favored soil for artists to arise.
Born in 1971 in the city of Nishinomiya, Hyogo prefecture, Goto is also inspired by the benefit of her location. Especially the respectable presence of Sadaharu Horio , a member of Gutai Art Association being in contact with her, had a significantly role. She was inspired to build up her world on artwork After moving to Hino-cho Shiga prefecture, she has been keeping her style.In other words her artwork came to have more flexibility by living surrounded by rich nature.
I’m anticipating to see how this artist, full of creativity drive, will continue to develop her work.
(Yui Uzuhara)
1971 | 兵庫県生まれ |
1995 | 京都精華大学美術学部造形学科洋画 卒業 |
2011 | 滋賀県へ |
2010 | アートスペースかおる(神戸)3人展 |
2011 | アトリエ苺小屋(神戸)個展 -日々、そこここに- |
2012 | ファブリカ村(滋賀・能登川)2人展 |
2012 | アートスペースかおる(神戸)3人展「はじめましてクリスマス!展」 |
2013 | ファブリカ村(滋賀・能登川)3人展 -ひかりあるところに- |
2013 | レティシア書房(京都)個展 -ここにあるひかり- |
2016 | アトリエ苺小屋(神戸)個展 -そこから、そして- |
2016 | らっこや(滋賀・日野町)3人展 -ひかりとひかりかがやきあう- |
2020 | わたむきホール虹ギャラリー(滋賀・日野町) ―日々、楽しー |
2014-2017 | ファブリカ村(滋賀・能登川)グループ展-ひかりあるところに-2014-~-2017- |
2004 | 第4回サムホール大賞展(西脇)入賞 |